最近は銀行窓口で豪ドル建て個人年金保険が良く売れているといいます。それにつれて高齢者がダマされて豪ドル建て個人年金保険に加入しているのではないか?というニュースがよく聞かれます。
あなたのご両親が豪ドル建て個人年金保険に加入したいといったら、あなたはどう答えればいいのでしょうか?
実際に私が加入している豪ドル建て個人年金保険を例に説明します。これを読めば、外貨建て個人年金保険のリスクとメリットがよ~く理解できます。あなたがご両親に正確なアドバイスができますよ。
豪ドル建て個人年金保険の仕組み
話題になっている豪ドル建て個人年金保険は一時払いの年金保険です。保険料を一時払いして、10年間を据え置きし、その後に年金受取を開始する年金保険です。
告知が無く、入院していなければ高齢者でも加入できる点が好評なのです。
豪ドル建て・外貨建てとは
国内の低金利下では、生命保険会社でも特別に良い予定利率で運用できません。そこで、外貨で運用すれば、予定利率を3%くらい出せそうです。
お客さまから預かった一時払い保険料を生命保険会社は海外の公社債などの安定資産で運用します。
外貨建て個人年金保険の元本保証
年金ですから元金(一時払い保険料)は確実に増て、年金で受け取れます。
実際に加入した私の契約で説明します。
契約日:2014年7月
年金支払い開始:2024年7月
保険料:約15,556豪ドル
円入金額:1,500,000円
年金原資:19,653豪ドル
保険料:約15,556豪ドルに対して、10年後の年金原資:19,653豪ドルですから、確実に増えて年金が受け取れ仕組みです。
2018年7月の解約返戻金は約16,968豪ドルです。これは生命保険会社から毎年の契約日後に送付されてくる「ご契約内容のお知らせ」から転記しました。
保険料:約15,556豪ドル→4年経過した後→解約返戻金は約16,968豪ドルです。途中経過でも増えていますね。
なぜ「元本保証ではない」というのでしょうか?その理由を次項で説明します。
豪ドル建て個人年金保険のリスク
今まで説明してきたように、一時払い保険料(元本)は順調に増えています。
私の契約で、4年経過した後で比較してみます。「ご契約内容のお知らせ」から転記します。
保険料:約15,556豪ドル
解約返戻金:約16,968豪ドル
プラス1,412豪ドルです。
元本=一時払い保険料よりも上回っています。
為替リスクに注目
私が豪ドル建て個人年金に加入した時の為替レートは1豪ドル約96円でした。現在の豪ドル円は1豪ドル78円です。
実際に今、解約した場合は約16,968豪ドルが受け取れます。元本プラス1,412豪ドルです。損はしていないです。
ただ、私は日本人です。豪ドルで受け取っても日本国内では使えませんから、日本円に通貨交換してもらいますよね。さて、どうなるのでしょうか?
通貨交換時にかかる手数料や受取時の所得税は考えておかないといけませんが、ここでは無視して考えてみます。
解約返戻金:約16,968豪ドル×78円=1,323,504円
元本は150万円です。
176,496円のマイナスです。
原因は為替レートが96円→から78円に円高になったからです。
豪ドル建てでは元本は確実に増加しています。しかし、円に交換するとマイナスになります。ここに元本保証でない原因があります。
為替リスクは保険会社が負うことはありません。
為替リスクは「豪ドル建て個人年金保険の契約者または年金受取人」が負うことになっています。為替リスクについて生命保険会社はパンフレットの目立つところに記述してあります。都合の悪いことも読んで確認しましょう。
積立利率保証期間と元本保証
今までの説明にプラスして、誤解しやすい「保証されている積立利率」について説明します。。
積立利率保証期間とは
豪ドル建て個人年金保険には積立利率保証期間があります。
まず契約者は保険料を円で一時払いします。その保険料で豪ドルに通貨交換したところから生命保険会社が豪ドルで運用します。
生命保険会社は「契約時に確定した利率が積立利率保証期間を通して適用」されます。簡単にいえば「固定利率で運用」されるということです。
つまり契約した時に10年後の年金原資は決定していて保証されています。ここでは豪ドルでの保険料(元本)が保証されています。
変動するのは為替レート
保証されていないのは「円に交換する為替レート」です。為替レートについて一番多く誤解されているポイントです。
私の契約を使って説明します。
保険料:約15,556豪ドル
円入金額:1,500,000円
年金原資:19,653豪ドル
約15,556豪ドルが10年後に年金原資:19,653豪ドルに増えます。年金原資の金額は契約時に決定します。つまり、年金原資の金額は生命保険会社が保証する金額です。
為替レートによってどの位変化するか計算します。通貨交換時にかかる手数料や受取時の所得税については考慮しません。
契約時の為替レート96円の場合
19653×96=1,886,688
税金を考慮しなければ、
386,688円増加します。
加入した時と解約時の為替レートが同じ場合は保険料(元金)より増えます。問題はありません。
為替レートが116円の場合
19653×116=2,279,748
税金を考慮しなければ、
779,748円増加します。
加入した時より解約時の為替レートが円安の場合は保険料(元金)より増えます。問題はありません。
為替レートが76円の場合
19653×76=1,493,628
マイナス6,378円です。
加入した時より解約時の為替レートが円高の場合は保険料(元金)より減ります。為替がどうなろうと生命保険会社は「元本保証しない」ことになっています。
でも安心して下さい。対処方法があります。私ならこうするという方法を書いておきました。
円高のときは?対処方法
為替が円高になって、年金開始時にまだ支払い保険料まで届かなかったときには豪ドルで受け取ることも出来ます。豪ドルの普通預金にしておいて為替レートが円安になるまで待ちましょう。それから円に交換するくらいの余裕があれば安心です。「損を確定する」のは円に交換した時であり、「豪ドルで保有」している間は「含み損状態」ですから。
私の損を回避する方法は
- 豪ドルの年金原資を豪ドルで受け取り、
- もう一度豪ドルで一時払いして、
豪ドル建ての個人年金保険に再度加入する方法です。
豪ドルでは増やせている
でも、円高で円に換えると損をする
ならば、円に変えなければ損は確定しないわけです。
為替は10年周期くらいで「円高~円安」を繰り返します。次の円安時期まで待って円に換える「ゆとり」を持ちましょう。
最も大事なことは、10年後まで使う予定のないお金で豪ドル建て個人年金保険に加入しましょう。
[surfing_su_box_ex title=”預貯金の全額を預けない” box_color=”#fbad46″]預貯金を5つの時期に分けて預けましょう。
お金は
- 通貨の種類
- 預ける時期
を分散投資して置かないとリスクが高くなります。
[/surfing_su_box_ex]
預貯金の全額を豪ドル建て個人年金保険に預けるなんておすすめできません。
自分で考えてもうまいプランがまとまらないときはお金のプロ・FPに相談しましょう。あなたが気の合うFPを指名出来る会社「FPのチカラ」がおすすめです。
>>FPのチカラ公式サイトはこちらです
豪ドル建て個人年金保険の税金
豪ドル建て個人年金保険の税金は年金受取か解約かで変わります。
5年以内に解約した時
5年以内に解約した時の税金は預貯金と同じ扱い(金融類似商品)で源泉徴収されます。
所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%の合計で20,315%を生命保険会社で源泉徴収してから支払います。自分で確定申告をする必要はありません。
5年超で解約した時
5年超で解約した時の税金は一時所得の課税対象になります。
一時所得(課税対象額)=(解約返戻金ー払込保険料ー50万円)×1/2
50万円は一時所得の特別控除額ですが、全ての一時所得を合わせて計算します。生命保険の契約1件ごとに特別控除額が認められることはありません。
一時所得(課税対象額)が総合課税の対象になります。必ず確定申告をしてください。確定申告をして初めて特別控除額が受けられます。
年金で受け取る時
契約者と年金受取人は同じ人で契約します。契約者≠年金受取人のときは贈与税がかかります。絶対に契約者≠年金受取人の形態で契約しないようにご注意ください。税金が一番多くかかります。
年金受取時の税金は雑所得です。雑所得が税金が少なく、一番お得と覚えてください。
年金保険の必要経費の計算には年金受取期間や増額年金、増加年金なども考慮します。とても難しいので説明を省かせていただきます。
まとめ
豪ドル建て個人年金保険は積立利率保障期間があり、契約した時に年金開始時の年金原資は豪ドル建てで保証されています。間違いなく元本は保証されています。
それでもなお、「元本保証されない」といわれる理由はただ一つ「為替」が原因です。外貨建て個人年金保険でお金を増やしたいと思う人は「為替レート」に注意すべきです。「為替」について理解できていれば豪ドル建て個人年金保険もよい予定利率の保険だと理解できます。
為替レートの変動を理解して、年金開始直前でも解約する決断が必要です。
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